◆発ガン性のあるAGE ⑤

食品に含まれるAGEには、直接、ガンを進行させる物質もあります。

そのひとつが「アクリルアミド」と言い、超悪玉AGEと言っても過言ではないものです。

この物質はアミノ酸の一種であるアスパラギンに起きるメイラード反応により生じます。

アクリルアミドの摂取量が多いと、発ガンリスクが高くなるという事実が公表されました。

このアクリルアミド、糖質を多く含むイモ類を焼いたり、揚げたりしたポテトチップスやフライドポテトで、大量に生成されることが分かりました。更にポテトチップスやフライドポテト以外にも、糖質を多く含む食材を高温調理した食品に広く含まれていることも判明したのです。この事実は2002年にスウェーデン政府から発表されました。これを読んで思ったのですが、既に16年も前から世界ではAGEに関して注目し、研究もなされていたのですね。それと比べると日本でAGEや糖化が騒がれ出したのは、ここ2~3年です。TVや雑誌でもやっと取り上げられるようになった程度です。日本は他の国と比べて糖化対策が遅れているので、認知症や糖尿病が増える一方なのかも知れません。

生活習慣病の原因はAGE①(AGEとガン)

日本人の死因の第三位は、脳梗塞などの脳卒中と言われるもの。

第二位は、心筋梗塞などの心臓病、そして第一位は、ガン。

脳梗塞などの脳卒中や心筋梗塞の原因は、動脈硬化を進めるAGEです。

そして、ガンにもAGEが深く関わっています。日本人の2人に1人は一生のうち一度はガンになり、3人に1人はガンで亡くなっています。

ガン細胞の多くはからだに備わった免疫によって除去されますが、加齢と共に免疫機能は低下していきます。AGEは組織レベルだけではなく、細胞レベルでも蓄積することが分かっており、遺伝情報を伝えるDNAにAGEが蓄積すると、ガンの引き金となるのです。

からだにAGEが出来ると、DNAの修復や複製などに悪影響が起こり、それがコピーエラーによるガンの発生を引き起こすと言われています。

また、ガン細胞の周りは間質で囲まれていて、この間質はガン細胞にさまざまな影響を与えていて、ガンの増殖や転移を抑えたり、逆に進行させたりすることに関わっています。

AGEはガンと間質の相互作用にも関係しています。

ガン細胞に表面に、AGEと結合するRAGE(AGE受容体)というタンパク質の分子があり、これにタンパク質の一種が結合すると、間質にシグナルが伝えられてガン細胞の転移が起こり易いことが分かったのです。

◆新しいガン治療薬「ニボルマブ」で糖尿病が発症

ガン治療に進歩はめざましく、最近では免疫チェックポイント阻害薬という新しい免疫療法が開発されました。これは、ガンが免疫細胞にかけているブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを強くする治療薬です。発売以来、重大な副作用として、Ⅰ型糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス(※参照)が報告されています。死亡例はありませんが、適切な処置をしなければ死に至る可能性もあります。
そのため、「ニボルマブ」を使用している人で、急激な血糖値の上昇や、糖尿病の症状が出た場合には、病院で適切な処置を行うのが一番です。
「ニボルマブ」で、ガンを克服したにもかかわらず、副作用で糖尿病になり、最悪、死に至るなんてことにならないようにしなければなりません。
薬は化学的なものであり、副作用があります。その副作用を理解した上で、納得した治療を受けたいものです。

※糖尿病ケトアシドーシスとは、急性代謝失調で、ひどい場合には脳浮腫や昏睡を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある状態で、極度の高血糖状態で発症します。