◆AGEの多い食品、調理法⑥

前回までのブログで、AGEが体にどれだけ悪影響を及ぼすか?を少しはご理解頂けたと思いますので、今回はどんな食品にAGEが多いか、どんな調理をするとAGEが多くなるかを記します。

【AGEの多い食品】トンカツ、唐揚げ、ステーキ、焼き鳥、ポテトチップス、フライドポテトなど

(揚げたり、焼いたり、炒めたりした動物性脂肪食品には特にAGEが多く含まれます。)

また、ジュース、炭酸飲料、お菓子、缶詰めなどに使われる人工甘味料はぶどう糖の10倍の速さでAGEを作るので、成分表示に「果糖液糖」「果糖ブドウ糖液糖」「異性化糖」と書かれている場合は要注意です。簡単に言うと、美味しそうな焼き色がついているものにはAGEが多いのです。

それから、ひとつ付け加えさせて頂きます。タバコも非常にAGEが多いので、できるなら禁煙がいいでしょう。元々、AGEは体内に起こる反応ではなく、美味しそうな現象は何だろう?ということからでしたので、食べ物を美味しくするための、とてもイイ反応だった訳です。しかし研究が進むにつれ、この反応が人間のからだで起こると悪いことばかりだったのです。

美味しそう・・・は体には悪いのですね。

【AGEを多く生成する調理法】AGEは加熱する温度が高ければ高い程、多く生成されます。

◆発ガン性のあるAGE ⑤

食品に含まれるAGEには、直接、ガンを進行させる物質もあります。

そのひとつが「アクリルアミド」と言い、超悪玉AGEと言っても過言ではないものです。

この物質はアミノ酸の一種であるアスパラギンに起きるメイラード反応により生じます。

アクリルアミドの摂取量が多いと、発ガンリスクが高くなるという事実が公表されました。

このアクリルアミド、糖質を多く含むイモ類を焼いたり、揚げたりしたポテトチップスやフライドポテトで、大量に生成されることが分かりました。更にポテトチップスやフライドポテト以外にも、糖質を多く含む食材を高温調理した食品に広く含まれていることも判明したのです。この事実は2002年にスウェーデン政府から発表されました。これを読んで思ったのですが、既に16年も前から世界ではAGEに関して注目し、研究もなされていたのですね。それと比べると日本でAGEや糖化が騒がれ出したのは、ここ2~3年です。TVや雑誌でもやっと取り上げられるようになった程度です。日本は他の国と比べて糖化対策が遅れているので、認知症や糖尿病が増える一方なのかも知れません。

生活習慣病の原因はAGE④(AGEと白内障)

生まれてから一度も入れ替わらないタンパク質は軟骨組織と眼球の水晶体を構成する「クリスタリン」です。クリスタリンの異常により起こる病気に白内障があります。

白内障は45歳以上になると増えてくる病気です。

水晶体はよくカメラのレンズに例えられますが、その水晶体が白色や茶褐色に濁り、クリアな視界が得られなくなるのが白内障です。白内障というと簡単に考えがちですが、進行してしまうと失明の恐れもあります。加齢とともに視力は低下するものですが、それに加えてモノがかすんで見えたり、ぼやけたり、明るいところで見えにくいなど感じたら、白内障の前触れかも知れません。白内障でもっとも多いのが、加齢とともに増えてくる加齢性白内障です。その発生にもAGEが深く関係しています。前述しましたクリスタリンにAGEができると、クリスタリンの構造が変化して透明性が下がってきます。

さらに、パンを焼くと褐色になるように、AGEには物質を褐色にする作用があるため、水晶体の濁りの原因にもなるのです。クリスタリンは一生、入れ替わらないので、AGEは溜まる一方で、少しずつ蓄積し透明性をなくしていくのです。

また、クリスタリンにAGEが生じるのは、紫外線による酸化の影響があります。

意外に思われるかも知れませんが、紫外線もAGEを増やす一因になるのです。

 

生活習慣病の原因はAGE③(AGEとアルツハイマー)

からだも老化しますが、それにつれて脳も老化していきます。

近年、社会問題にもなっている認知症ですが、認知症の中でも半分以上はアルツハイマー病によるもので、これを「アルツハイマー型認知症」と呼んでいます。

原因として挙げられるのが、遺伝子の変異によるアルツハイマー病(家族性アルツハイマー病)は、全体の0.1%程度でしかなく、大部分は遺伝子的な変異とは関係ない生活習慣病が関係するアルツハイマー病です。脳は1000億個ともいわれる神経細胞の固まりです。

アルツハイマー病には正常な脳にも存在しているタンパク質が、「アミロイド」という細い繊維をつくって神経細胞の外側に沈着する特徴があります。それが集まり巨大な「アミロイド繊維」をつくるとシミのように見えることから、「老人斑」と呼ばれています。

アルツハイマー病では、神経細胞内に2本のらせん状のタンパク質が蓄積する神経原繊維変化が起こり、最終的には脳が委縮する脳変性が起こります。

アルツハイマー病にAGEが関係している証拠に、前述した老人斑には大量のAGEが含まれていることが分かっています。この他、神経性の難病であるパーキンソン病では、中脳に「レビー小体」という異物が発生しますが、ここにもAGEが多量にたまっています。

生活習慣病の原因はAGE②(AGEと骨の老化)

骨も加齢による影響を受けやすく、老化します。

骨とはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが堅く結晶になったものです。

このミネラルが減り骨の強度が下がってしまい、骨折を起こしやすくなった状態が、高齢女性の問題となっている「骨粗しょう症」です。骨の健康の為にと食事でカルシウムを摂りますが、高齢女性の食生活は小魚や海藻をよく食べていたのでカルシウムは足りているはずです。にもかかわらず何故、骨粗しょう症が多いのでしょうか?

これにも糖化が絡んでいます。余りピンとこないかも知れませんが、骨も他の組織と同じように新陳代謝をしていて破骨細胞で骨を分解、骨芽細胞で骨を合成する骨代謝を行っています。骨の重量の半分はコラーゲン繊維ですが、このコラーゲン繊維にAGEができると骨が弱く脆くなります。コラーゲン繊維は繊維同士を結びつける善玉の架橋により、必要な強度を維持していますが、このコラーゲン繊維にAGEがつくと、本来、つかなくてもよい場所にも架橋ができてしまい、骨の強度が低下してしまうのです。