神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その2

幻の植物を探して・・・

訪ね歩き、聞き歩き。だが、いっこうに、この植物を知る人もなく、噂を聞いたことはあっても、実物は知らない、どこにあるのかも分からないという有り様。

途方に暮れるインディS氏は、あることを思いつく。

「そうだ、懸賞金をかけてみよう」思いついたら、即行動。

かけた懸賞金は2,000ドル──当時カンボジアではそこそこの企業のサラリーマンの給与半年分でした。

当然賞金目当ての人たちが集まってきます。しかも、求めているのは誰も知らない植物の情報なのです。

ウソでも分かるはずがないという手合いが集まり、何度も何度も騙される始末。今度こその思いで、お金をばらまき集まる偽情報の数々。

「これが凄い効き目、噂の薬草」と言われ、1tも購入。調べてみれば、ただのウコンでした。

いったん走り始めたら、もう止まらないインディS氏です。ようやく待ち続けていたホンモノが姿を現す時がきました。

名前は、「黒ガリンガル」それを持ってきてくれたのは秘境地帯出身の人でした。

その人に、手にした植物が自生する秘境地帯に連れて行って下さい!と、何度も何度も頼み込み、やっとの思いでたどり着くことが出来たのです。

着くまで幾日もかかり、また騙されているのではとの疑念を持つ瞬間さえありました。

やがてたどり着いたところ、そこは、まさに自給自足の秘境。国境すらはっきりせず、戸籍があるかどうか分からない人もいるようでした。そんな秘境だからこそ、幻の植物だったのだという実感が込み上げてくるのでした。

しかし、本当の困難はここから始まったのです。これまでの苦労は、単にスタートラインに立てたというだけのものだったのです。

 

神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その1

序章

これからお伝えする物語は、秘法を求めて世界を駆け巡る冒険をするインディ・ジョーンズ顔負けの実体験をしたインディS氏の、黒ガリンガルへの愛情と、秘境地帯で暮らす人々への感謝と、超高齢化社会を生き抜く日本人への希望を描いた感動の実話です。是非、お読み下さい!


最貧国、カンボジア進出

ASEAN統合が実現して、東南アジアはビジネスチャンスとして注目を浴びてきました。1999年4月にカンボジアもASEAN加盟を果たし、復興への取り組みを本格化させます。

貿易商、実業家として成功していた日本人のインディS氏は、友人に勧められ、カンボジアの首都プノンペンに日本人向けのホテルを建設。その勢いのままに、10万坪以上もある広大な農園を購入しました。「いつか農業をやってみたい」という夢があったからでした。

カンボジアの黒い宝石と言われる、最高級品の黒コショウの栽培が可能なオーガニック農園。

インディS氏の夢は膨らむばかりです。

そんなときでした。原材料の安定供給に苦慮していた、日本の某大手食品メーカーから「無農薬でウコンをつくってくれないか」という依頼が舞い込んだのです。

むろん、安定した収入になるので断る理由などありません。すぐに試作を始めました。

しかし、カンボジアの農園スタッフは誰も動いてくれません。スタッフを全員集めて、理由を問いただすと。

「東南アジアならウコンはどこでも生える、調味料に使う植物。どうして貴重な胡椒畑を潰してまで、こんなものを栽培するのか」と、大喧嘩になる始末。

そのときです。日頃は寡黙な一人のスタッフがほんのひとこと、口を開きました。そして、そのひとことが大転換をもたらすことになりました。

しかし、誰にもその後の展開は、予想し得ないものだったのです。

寡黙なスタッフは言いました。「どうしてもやりたいなら、ある地域でしか育たない凄い薬草があるよ」と。

彼によれば、その薬草はある特定の地域にしかなく、そこでは年寄りでもすごく元気。80歳過ぎても子供ができる。とてつもない黒い精力剤だと。なんと、それを飲んでいる80歳過ぎの男性が、自分の親戚のいる町で強姦罪で捕まったとも話すのです。

人生を変えたひとこと。インディS氏はこの話に飛びつきました。

前代未聞の精力剤・未曾有の強壮剤を全世界に輸出して、大儲けしている自分の姿が、はやくも頭の中を駆け巡ったといいます。

さっそく、その日のうちにプノンペン中を情報収集。しかし、知っている人はまったくなし。

幻の植物の、正体のなさをまざまざと見せ付けられる結果が続きました。

手がかり無ければ無いほどに、訳が分からなければ分からぬほどに燃える性格は生来のもの。

ついに、本領発揮の時が到来したのです。