神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その4

転進──変容した情熱

ある日の出来事です。ある村の村長さんのひとことが、新たな道しるべとなっていくのです。

「おまえさん、身体悪いだろ?商売もいいけどな、自分の分だけ分けてあげるから飲んでごらん。不健康じゃなにもできないよ」

時間をやまほどかけ、お金を捨てるように使い、やっとの思いでつかんだ、自分の分だけの本物。

本物はホンモノでした。

当時のインディS氏は様々な病気を抱えていました。主な病歴は痛風を発症し、はや17年の大ベテラン。そして、ニトロを手放せない狭心症。

しかしながら、前代未聞の精力剤という考えしかないインディS氏は、人体実験のつもりで黒ガリンガルを飲んだのでした。

期待通り、驚くほどの下半身効果が現れました。でもそれ以上にびっくりしたのが、なんと3ヶ月に一度は起こる痛風発作が起きない。期待して待っているのではないのです。そうではなく、怖いのです。あの痛み。風が吹いても痛いとはよくいったもの、経験者にしか分からない。あの痛みへの恐怖。いつくるか、いつ始まるのか怯えている姿が、まるで待ち望んでいる姿に似通ってしまうのです。

17年もの間、発作の前兆に怯え、痛みに苦しみ、自業自得と思ってひたすら痛みが去るのを待ち、耐えるだけの辛い日々。

前兆は間違いなくあったのです。それで発作がこないなんて、この17年間一度もありませんでした。明日にはきっとくる。翌日また、明日には絶対・・・。待ってはいないのです。でも起きない。それ以来、現在まで一度も痛風発作が起きたことはありません。

「解放されたのかもしれない!」

尿酸値は高い(9以上、7までが正常値)ままです。しかし、薬は飲んでいません。ついに、痛風関節である左親指下の腫れもなくなってしまいました。自分以上に家族や社員など周囲の人たちが驚いていました。心臓発作の回数も減って、小走りすら避けていたのが、毎朝30分も散歩するようになっていたのです。

「この黒ガリンガルのおかげに違いない」──感動でした。感激でした。

目から鱗とは、まさにこのこと。すでに魂の変容が進みつつあったのです。

「どうしても日本に、黒ガリンガルを届けたい」──強い想いが地下のマグマのようにうごめき始めました。

高齢化がどんどんすすんでいる日本。自分と同じように病に苦しむ人々が大勢いる。そんな人たちが少しでも良くなれば。長年苦しみ続けた持病からの解放。この喜びを、この感激を分かち合うことができるのなら・・・

神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その3

元気過ぎる、秘境地域に暮らす人々

現地に着いて、インディS氏が目にしたものは元気なお年寄りの多さと、機械化されていない農作業をどんどんこなしていく姿でした。動きがホントに若い。ピックアップトラックの荷台にヒョイと飛び乗り、誰の助けも借りずに飛び降りて、山道をスタスタと農具を担いで歩いていく。年齢を聞いてビックリ。80歳以上の人達が大勢いました。

東南アジア全体の平均寿命は50代前半。ところが、彼ら秘境に暮らす人々の平均寿命は、なんと80代後半だというのです。

さらに驚きと興奮の波にさらわれるような出来事が続きます。ある80過ぎの村長さんのお孫さんに、お菓子を手渡しました。まずは子供に優しくして、子供の心をまずつかみ取れ。親は子供についてくるもの。そして話してみると・・・・・まだ5、6歳の男の子は孫ではなく、なんと村長さんの子供だったのです!

しかも村長はさんは、この地域では80代の男性が子供をつくることは普通で、女性の高齢での自然出産もあると、平気な顔で言います。

何人ものお年寄りに聞いて回りました。どうして皆さん、そんなに元気なのか?と。

答えは同じ。「赤ちゃんの時から毎日、お守りがわりに『山の神様の贈り物』を食べているから」

黒ガリンガルという植物、それが『山の神様の贈り物』だと秘境地域に暮らす人々に教えられました。

インディS氏は、「あの話は本当だったんだ。オレはついに宝の山を見つけたんだ」

期待通りの答えが返ってきて、まさに天にも昇る気持ち。興奮のあまり踊り出したい気分でした。すでに幻かと思っていた植物を手にし、大金が転がり込んだ想いで、期待を糧にした想像は膨らむばかりだったのです。しかしながら、思うようにいかないのが現実。

点在する集落という集落を訪ね歩き、黒ガリンガルの種芋を譲って欲しいと頼みました。でも、一向にいい返事をもらうことが出来ない。誰ひとりとして首を縦に振らないのです。何故なのか訳が分からない。一度決めたら、決して諦めない性分。まして、奇跡の精力剤ともいうべき植物を目の前にしながら手が届かないなんて・・・

あり得ない!──秘境地域で暮らす人々は、点在する集落すべてが密約でも交わしたかのように種芋を譲ってくれないのです。無駄足を重ねる訪問。諦める訳にはいかない、引き下がるなんて考えられない。ここで諦めたら、今までの苦労が水の泡となってしまうとの一念で、決して諦めなかった。そしてついに、諦めない情熱が実を結び、細い絆の糸でつなぎとめる結果となったのでした。

そして、縁をつなぎとめた一本の糸が、今後のインディS氏の人生を大きく変えていくキッカケとなったのです。

神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その2

幻の植物を探して・・・

訪ね歩き、聞き歩き。だが、いっこうに、この植物を知る人もなく、噂を聞いたことはあっても、実物は知らない、どこにあるのかも分からないという有り様。

途方に暮れるインディS氏は、あることを思いつく。

「そうだ、懸賞金をかけてみよう」思いついたら、即行動。

かけた懸賞金は2,000ドル──当時カンボジアではそこそこの企業のサラリーマンの給与半年分でした。

当然賞金目当ての人たちが集まってきます。しかも、求めているのは誰も知らない植物の情報なのです。

ウソでも分かるはずがないという手合いが集まり、何度も何度も騙される始末。今度こその思いで、お金をばらまき集まる偽情報の数々。

「これが凄い効き目、噂の薬草」と言われ、1tも購入。調べてみれば、ただのウコンでした。

いったん走り始めたら、もう止まらないインディS氏です。ようやく待ち続けていたホンモノが姿を現す時がきました。

名前は、「黒ガリンガル」それを持ってきてくれたのは秘境地帯出身の人でした。

その人に、手にした植物が自生する秘境地帯に連れて行って下さい!と、何度も何度も頼み込み、やっとの思いでたどり着くことが出来たのです。

着くまで幾日もかかり、また騙されているのではとの疑念を持つ瞬間さえありました。

やがてたどり着いたところ、そこは、まさに自給自足の秘境。国境すらはっきりせず、戸籍があるかどうか分からない人もいるようでした。そんな秘境だからこそ、幻の植物だったのだという実感が込み上げてくるのでした。

しかし、本当の困難はここから始まったのです。これまでの苦労は、単にスタートラインに立てたというだけのものだったのです。

 

神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その1

序章

これからお伝えする物語は、秘法を求めて世界を駆け巡る冒険をするインディ・ジョーンズ顔負けの実体験をしたインディS氏の、黒ガリンガルへの愛情と、秘境地帯で暮らす人々への感謝と、超高齢化社会を生き抜く日本人への希望を描いた感動の実話です。是非、お読み下さい!


最貧国、カンボジア進出

ASEAN統合が実現して、東南アジアはビジネスチャンスとして注目を浴びてきました。1999年4月にカンボジアもASEAN加盟を果たし、復興への取り組みを本格化させます。

貿易商、実業家として成功していた日本人のインディS氏は、友人に勧められ、カンボジアの首都プノンペンに日本人向けのホテルを建設。その勢いのままに、10万坪以上もある広大な農園を購入しました。「いつか農業をやってみたい」という夢があったからでした。

カンボジアの黒い宝石と言われる、最高級品の黒コショウの栽培が可能なオーガニック農園。

インディS氏の夢は膨らむばかりです。

そんなときでした。原材料の安定供給に苦慮していた、日本の某大手食品メーカーから「無農薬でウコンをつくってくれないか」という依頼が舞い込んだのです。

むろん、安定した収入になるので断る理由などありません。すぐに試作を始めました。

しかし、カンボジアの農園スタッフは誰も動いてくれません。スタッフを全員集めて、理由を問いただすと。

「東南アジアならウコンはどこでも生える、調味料に使う植物。どうして貴重な胡椒畑を潰してまで、こんなものを栽培するのか」と、大喧嘩になる始末。

そのときです。日頃は寡黙な一人のスタッフがほんのひとこと、口を開きました。そして、そのひとことが大転換をもたらすことになりました。

しかし、誰にもその後の展開は、予想し得ないものだったのです。

寡黙なスタッフは言いました。「どうしてもやりたいなら、ある地域でしか育たない凄い薬草があるよ」と。

彼によれば、その薬草はある特定の地域にしかなく、そこでは年寄りでもすごく元気。80歳過ぎても子供ができる。とてつもない黒い精力剤だと。なんと、それを飲んでいる80歳過ぎの男性が、自分の親戚のいる町で強姦罪で捕まったとも話すのです。

人生を変えたひとこと。インディS氏はこの話に飛びつきました。

前代未聞の精力剤・未曾有の強壮剤を全世界に輸出して、大儲けしている自分の姿が、はやくも頭の中を駆け巡ったといいます。

さっそく、その日のうちにプノンペン中を情報収集。しかし、知っている人はまったくなし。

幻の植物の、正体のなさをまざまざと見せ付けられる結果が続きました。

手がかり無ければ無いほどに、訳が分からなければ分からぬほどに燃える性格は生来のもの。

ついに、本領発揮の時が到来したのです。