神秘の植物 黒ガリンガル発掘物語 その3

元気過ぎる、秘境地域に暮らす人々

現地に着いて、インディS氏が目にしたものは元気なお年寄りの多さと、機械化されていない農作業をどんどんこなしていく姿でした。動きがホントに若い。ピックアップトラックの荷台にヒョイと飛び乗り、誰の助けも借りずに飛び降りて、山道をスタスタと農具を担いで歩いていく。年齢を聞いてビックリ。80歳以上の人達が大勢いました。

東南アジア全体の平均寿命は50代前半。ところが、彼ら秘境に暮らす人々の平均寿命は、なんと80代後半だというのです。

さらに驚きと興奮の波にさらわれるような出来事が続きます。ある80過ぎの村長さんのお孫さんに、お菓子を手渡しました。まずは子供に優しくして、子供の心をまずつかみ取れ。親は子供についてくるもの。そして話してみると・・・・・まだ5、6歳の男の子は孫ではなく、なんと村長さんの子供だったのです!

しかも村長はさんは、この地域では80代の男性が子供をつくることは普通で、女性の高齢での自然出産もあると、平気な顔で言います。

何人ものお年寄りに聞いて回りました。どうして皆さん、そんなに元気なのか?と。

答えは同じ。「赤ちゃんの時から毎日、お守りがわりに『山の神様の贈り物』を食べているから」

黒ガリンガルという植物、それが『山の神様の贈り物』だと秘境地域に暮らす人々に教えられました。

インディS氏は、「あの話は本当だったんだ。オレはついに宝の山を見つけたんだ」

期待通りの答えが返ってきて、まさに天にも昇る気持ち。興奮のあまり踊り出したい気分でした。すでに幻かと思っていた植物を手にし、大金が転がり込んだ想いで、期待を糧にした想像は膨らむばかりだったのです。しかしながら、思うようにいかないのが現実。

点在する集落という集落を訪ね歩き、黒ガリンガルの種芋を譲って欲しいと頼みました。でも、一向にいい返事をもらうことが出来ない。誰ひとりとして首を縦に振らないのです。何故なのか訳が分からない。一度決めたら、決して諦めない性分。まして、奇跡の精力剤ともいうべき植物を目の前にしながら手が届かないなんて・・・

あり得ない!──秘境地域で暮らす人々は、点在する集落すべてが密約でも交わしたかのように種芋を譲ってくれないのです。無駄足を重ねる訪問。諦める訳にはいかない、引き下がるなんて考えられない。ここで諦めたら、今までの苦労が水の泡となってしまうとの一念で、決して諦めなかった。そしてついに、諦めない情熱が実を結び、細い絆の糸でつなぎとめる結果となったのでした。

そして、縁をつなぎとめた一本の糸が、今後のインディS氏の人生を大きく変えていくキッカケとなったのです。