◆糖尿病とうつ②

私の知り合いに、糖尿病になり、うつ病になってしまった人がいます。実際に糖尿病になりインスリン注射をなさっている人なら体験しているかと思いますが、インスリンを射つだけ射って、過食していたら太ります。これは何故かというと、インスリンが分泌されると、体脂肪は合成されやすく、分解されにくいからです。更にインスリンには食欲増進作用があるため、好き勝手やっていたら太るのも当然です。若い女性が糖尿病になると、ほとんどの人がうつ病、もしくはうつ状態になるようです。これは太ることを気にして、インスリンを射たなくなったりするからです。自己管理をしっかりすれば太ることはないのですが、精神的に病んでいると、過食に繋がるので、なかなか難しい問題です。おまけに過食症にもなっていくのです。私の知り合いはスーパーに行って、ありとあらゆる種類のタイ焼きを購入し、全てを平らげたあと、口に指を突っ込んで吐くのだそうです。どうしてそんなことをするの?と尋ねたら、タイ焼きが消化する前に吐かないと、体内に吸収してしまい太ってしまうでしょ?と言っていました。太りたくない、でも好きな物は好きなだけ食べたい。しかし太りたくない。この気持ちが食べて吐くという行動を引き起こすようです。
なので、指には吐きダコができていました。吐きダコって何かというと、足にタコができるように、指にもタコができるのです。この場合は口に指を突っ込むという行為が頻繁に起こるので、指に慢性的な刺激となり、タコとして現れるのです。信じられないでしょうが、実際の話です。糖尿病に限らす、病気というものは、精神的にも大きな負担を生みます。
「病は気から」とは良くいったものです。

◆糖尿病とうつ①

糖尿病を持っている人は、うつ状態を合併することが多く、その頻度は一般の約2倍と言われています。糖尿病という病気そのもの、自己管理をしなければならないこと、もしくは治療によるストレスや治療を続けなければならないこと、がんばっていたとしても、いつかは合併症になるのだろうかという不安から、全てのことが心の負担となるのです。実際、私の知り合いも、うつになり精神的に病んでいます。精神的に病んでしますと、そのストレスを過食にぶつけたりして、検査結果が悪くなり、更に悪循環に陥るのです。うつにならないためには、きちんとした食生活、十分な睡眠時間の確保、日光を浴びながら体を動かすなどと言われますが、実際のところ、こころの問題は、そんなに簡単なことではないような気がします。最近では、「認知行動療法」という認知に働きかけて気持ちを楽にする手法が注目されています。ストレスを受けると、つい悲観的に考えてしまいますが、そんな時でもプラス思考ができれば、辛い気分を和らげることができるようになります。ストレスの受け取り方や考え方を柔軟にすることで、辛い感覚を和らげ、上手くストレスに対応できる心を作る訳です。この方法はうつ病治療のための療法ですが、うつを予防する効果もあります。

◆新しいガン治療薬「ニボルマブ」で糖尿病が発症

ガン治療に進歩はめざましく、最近では免疫チェックポイント阻害薬という新しい免疫療法が開発されました。これは、ガンが免疫細胞にかけているブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを強くする治療薬です。発売以来、重大な副作用として、Ⅰ型糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス(※参照)が報告されています。死亡例はありませんが、適切な処置をしなければ死に至る可能性もあります。
そのため、「ニボルマブ」を使用している人で、急激な血糖値の上昇や、糖尿病の症状が出た場合には、病院で適切な処置を行うのが一番です。
「ニボルマブ」で、ガンを克服したにもかかわらず、副作用で糖尿病になり、最悪、死に至るなんてことにならないようにしなければなりません。
薬は化学的なものであり、副作用があります。その副作用を理解した上で、納得した治療を受けたいものです。

※糖尿病ケトアシドーシスとは、急性代謝失調で、ひどい場合には脳浮腫や昏睡を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある状態で、極度の高血糖状態で発症します。

◆糖尿病と認知症

昔は高齢者になると認知症になる、認知症になるのは仕方がないと考えられていました。
しかし、実際のところ、40代で若年性認知症、若年性アルツハイマーになる人もいます。また、2025年問題と騒がれていますが、あと7~8年もすると、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
認知症はまさに、大きな社会問題となっています。
特にアルツハイマー型認知症の人は増加しており、糖尿病の人が増えてきたことと関係していることが分かってきました。
最近の研究では、アルツハイマー型認知症の脳の記憶を司る部分で、複数の遺伝子の働きに異常が発見されました。その中にインスリンと関連する遺伝子も、複数含まれていました。
インスリンは、血糖値を下げる働きをする、たったひとつのホルモンです。アルツハイマー型認知症では、複数の遺伝子の働きが低下しているため、糖を十分に利用できず、様々なストレスに弱くなります。このような状態で糖尿病を発病すると、アルツハイマー型認知症が進行するのではないかと考えられているのです。

◆「世界糖尿病デー」

2017年11月14日は「世界糖尿病デー」世界の糖尿病人口は3億8700万人に上っているそうです。このような状況を踏まえて、国連がIDF(国際糖尿病連合・現在約170ヶ国230団体が加盟)が要請してきた「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を国連総会議で採択したのです。
詳しくはこちら➡ http://www.wddj.jp/

本日から複数回に渡り、糖尿病に関する情報をお伝えしたいと思います。今回は糖尿病だった有名人のお話です。平安時代の貴族である藤原道長は「糖尿病」を患っていたと言います。51歳の頃から、やたらと喉が渇き、よく水を飲んでいたとの記述から、Ⅱ型糖尿病だったのでしょう。この藤原道長は日本で最初に糖尿病になった人とも言われていて、何年も前に記念切手のモデルにもなりました。また、岡倉天心、徳川家康、幸田露伴も糖尿病だったそうです。時代が時代だっただけに、今のようにインスリン注射も血糖降下剤もないので、どれだけ苦しい思いをしたのか分かりません。現在、糖尿病と診断され、毎日、インスリン注射や血糖降下剤などを服用し治療をなさっている方、日々、大変ではありますが、藤原道長や徳川家康の事を考えると、予防法も治療法もあるので、医学の進歩に感謝せずにはいられません。