『糖化』とは その2

先週のブログで、AGEs(advanced glycation endproducts AGEは幾つか種類があるので、複数形のsをつけます。)という物質が出てきましたが、この物質はからだの中で、どのような影響を及ぼすのでしょうか?AGEは100%からだに有害です。

一番おそろしいのは、私たちのからだを作るタンパク質を攻撃して、その機能を低下させる働きがあることです。

私たちのからだを作るタンパク質は、分解と合成を繰り返す新陳代謝で、常に入れ替えが行われています。例えば、金属を使い続けると疲労を起こして強度が低下するように、同じタンパク質を使い続けると強度が低下してしまいます。それを未然に防ぐために、定期的に入れ替える仕組みが備わっているのです。

AGEが、私たちのからだを作るタンパク質を攻撃して、その機能を低下させると言うことが積み重なることにより、私たちのからだは老化していきます。

体内にたまるAGEは、加齢と共に増えていきますが、これが老化を進めて寿命を縮める原因になっています。

『糖化』とはその1

本日からはここ数年、やっと騒がれ始めた糖化について詳しくお伝えしていきたいと思います。糖化とは糖とタンパク質が結びつく反応で、この反応により作られる物質が、からだのあちらこちらで悪さをすることが分かってきたのです。(ちなみに酸化は不安定で乱暴者の活性酸素が、近くにある物質と結びつくことで起こり、かつ、脂質と結びつくことが大問題でした。)糖とタンパク質が結びつき、体温という熱が加わるとAGEsという物質ができます。AGEsはadvanced glycation endproductsの略で、糖化最終生成物と言います。

このAGEsを世界で初めて発見したのは、フランスの科学者ルイ・カミーユ・メラールです。1912年に発見したと言いますから、既に100年以上経過していることになります。

世界的にはメラールを英語読みし、メイラード反応と呼びます。

メイラード反応は、タンパク質と糖質を同時に加熱することで起こります。砂糖とタンパク質、例えば砂糖と卵を混ぜるだけではAGEsは生成されません。

日常生活においては、ホットケーキ、食パン、お好み焼き、焼きおにぎり・・・など、タンパク質と糖質を含む食材を加熱すると褐色になります。これらは全てメイラード反応と呼び、からだに100%有害と言われるAGEsが大量に発生しるのです。

栄養素(タンパク質)③

タンパク質とは、からだを作るための栄養素。筋肉、髪の毛、皮膚、内臓、血管、爪、歯など、全てタンパク質です。これは誰しもが知ることだとは思いますが、実はこれ以外にも免疫抗体、ホルモン、酵素の原料でもあります。

タンパク質が不足すると、抜け毛や肌荒れがおこったり、筋肉が減ったり、風邪を引きやすくなります。なので、肉、魚、大豆、卵、ヨーグルトなどから、バランス良く摂取するのが一番です。しかし、いくらタンパク質が大事だとは言っても、ご飯や野菜などを食べずに、肉や魚ばかりを摂っていると、余分なものは尿として排泄されるので、尿を作る腎臓に負担がかかります。近年、ダイエットに糖質制限食が流行っていてタンパク質だけを摂る人が多くなっていますが、やはり程々がいいようです。ちなみに一日のタンパク質摂取量は70g~80gでいいようです。毎回の食事に自分の手のひらサイズを目安に、肉や魚を摂ることが望ましいとされています。入院生活を経験なさった方は、ご存じかと思いますが、病院食は栄養士さんがその人に合った栄養バランスを考えたメニューを作成して下さっていますので、参考にするのもありです。

栄養素(糖質)②

近年、糖質抜きダイエットが大流行していますが、果たして糖質抜きは本当に体に良いのでしょうか?答えはNOです。前回、少し触れましたが、糖質は脳のエネルギーとなるので、どうしても必要な栄養素です。逆を言うと、脳のエネルギーになるのは糖質だけです。

糖質の働きはお腹が空いた時、疲れた時、血糖が下がった時などに、素早くエネルギーを注入すること。特に甘いものは、直ぐにエネルギーに変わるので、体がみるみる回復してきます。プロゴルファーの○○さんが、プレーの直前にバナナ1本を食べると言うのも、とても理にかなった方法なのです。

また、誰もが経験したことがあると思いますが、仕事や受験勉強の時に何故か甘い物を欲する時がありますが、これも体がもっと栄養を頂戴!と要求しているのです。特に脳は1時間あたり5gのぶどう糖を消費していると言われますので、人は何もしなくても一日に脳は120gのぶどう糖を消費している計算となります。

但し、摂りすぎには注意です。何故なら、甘い物の代表であるお菓子やスイーツは美味しくて食べ過ぎてしまいまい、体の中で余ってしまうと脂肪に変わるので、太る原因となります。参考までに、砂糖と油を一緒に摂ると太り易いと言いますが、甘い物の中でもケーキは砂糖と油が大量に含まれているので注意が必要です。どうしても甘い物が欲しい場合は、和菓子がおススメです。和菓子は砂糖は使いますが、油は余り使わないからです。

◆玄米ご飯がすい臓の細胞に及ぼす影響

沖縄県では、玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されるということが従来から知られていたそうです。玄米の胚芽部分に含まれる「γ―オリザノール」という成分に着目し、琉球大学で調べました。Ⅱ型糖尿病の原因のひとつは、すい臓のβ細胞が小胞体ストレスにより細胞死し、インスリン分泌が低下することです。

小胞体というのは、タンパク質の加工工場で、作られたタンパク質には不良品もあり、それらが小胞体に蓄積し、細胞の機能障害を起こすのは小胞体ストレスです。マウスの実験で、高脂肪食と「γ―オリザノール」の両方を摂取させたところ、β細胞の機能は正常に保たれ、インスリン分泌量が増加したとの結果が出たそうです。

玄米は、この「γ―オリザノール」を豊富に含みます。また、玄米は白米に比べて、硬いので、歯で何回も噛まなければなりません。つまり、ゆっくりと噛んで食べるというのも、血糖値の上昇を抑制します。玄米は噛めば噛む程、甘味が出てきて美味しいので、食べなれていない人も、挑戦してみるのもいいのでは?