生まれてから一度も入れ替わらないタンパク質は軟骨組織と眼球の水晶体を構成する「クリスタリン」です。クリスタリンの異常により起こる病気に白内障があります。
白内障は45歳以上になると増えてくる病気です。
水晶体はよくカメラのレンズに例えられますが、その水晶体が白色や茶褐色に濁り、クリアな視界が得られなくなるのが白内障です。白内障というと簡単に考えがちですが、進行してしまうと失明の恐れもあります。加齢とともに視力は低下するものですが、それに加えてモノがかすんで見えたり、ぼやけたり、明るいところで見えにくいなど感じたら、白内障の前触れかも知れません。白内障でもっとも多いのが、加齢とともに増えてくる加齢性白内障です。その発生にもAGEが深く関係しています。前述しましたクリスタリンにAGEができると、クリスタリンの構造が変化して透明性が下がってきます。
さらに、パンを焼くと褐色になるように、AGEには物質を褐色にする作用があるため、水晶体の濁りの原因にもなるのです。クリスタリンは一生、入れ替わらないので、AGEは溜まる一方で、少しずつ蓄積し透明性をなくしていくのです。
また、クリスタリンにAGEが生じるのは、紫外線による酸化の影響があります。
意外に思われるかも知れませんが、紫外線もAGEを増やす一因になるのです。