生活習慣病の原因はAGE④(AGEと白内障)

生まれてから一度も入れ替わらないタンパク質は軟骨組織と眼球の水晶体を構成する「クリスタリン」です。クリスタリンの異常により起こる病気に白内障があります。

白内障は45歳以上になると増えてくる病気です。

水晶体はよくカメラのレンズに例えられますが、その水晶体が白色や茶褐色に濁り、クリアな視界が得られなくなるのが白内障です。白内障というと簡単に考えがちですが、進行してしまうと失明の恐れもあります。加齢とともに視力は低下するものですが、それに加えてモノがかすんで見えたり、ぼやけたり、明るいところで見えにくいなど感じたら、白内障の前触れかも知れません。白内障でもっとも多いのが、加齢とともに増えてくる加齢性白内障です。その発生にもAGEが深く関係しています。前述しましたクリスタリンにAGEができると、クリスタリンの構造が変化して透明性が下がってきます。

さらに、パンを焼くと褐色になるように、AGEには物質を褐色にする作用があるため、水晶体の濁りの原因にもなるのです。クリスタリンは一生、入れ替わらないので、AGEは溜まる一方で、少しずつ蓄積し透明性をなくしていくのです。

また、クリスタリンにAGEが生じるのは、紫外線による酸化の影響があります。

意外に思われるかも知れませんが、紫外線もAGEを増やす一因になるのです。

 

生活習慣病の原因はAGE③(AGEとアルツハイマー)

からだも老化しますが、それにつれて脳も老化していきます。

近年、社会問題にもなっている認知症ですが、認知症の中でも半分以上はアルツハイマー病によるもので、これを「アルツハイマー型認知症」と呼んでいます。

原因として挙げられるのが、遺伝子の変異によるアルツハイマー病(家族性アルツハイマー病)は、全体の0.1%程度でしかなく、大部分は遺伝子的な変異とは関係ない生活習慣病が関係するアルツハイマー病です。脳は1000億個ともいわれる神経細胞の固まりです。

アルツハイマー病には正常な脳にも存在しているタンパク質が、「アミロイド」という細い繊維をつくって神経細胞の外側に沈着する特徴があります。それが集まり巨大な「アミロイド繊維」をつくるとシミのように見えることから、「老人斑」と呼ばれています。

アルツハイマー病では、神経細胞内に2本のらせん状のタンパク質が蓄積する神経原繊維変化が起こり、最終的には脳が委縮する脳変性が起こります。

アルツハイマー病にAGEが関係している証拠に、前述した老人斑には大量のAGEが含まれていることが分かっています。この他、神経性の難病であるパーキンソン病では、中脳に「レビー小体」という異物が発生しますが、ここにもAGEが多量にたまっています。

生活習慣病の原因はAGE②(AGEと骨の老化)

骨も加齢による影響を受けやすく、老化します。

骨とはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが堅く結晶になったものです。

このミネラルが減り骨の強度が下がってしまい、骨折を起こしやすくなった状態が、高齢女性の問題となっている「骨粗しょう症」です。骨の健康の為にと食事でカルシウムを摂りますが、高齢女性の食生活は小魚や海藻をよく食べていたのでカルシウムは足りているはずです。にもかかわらず何故、骨粗しょう症が多いのでしょうか?

これにも糖化が絡んでいます。余りピンとこないかも知れませんが、骨も他の組織と同じように新陳代謝をしていて破骨細胞で骨を分解、骨芽細胞で骨を合成する骨代謝を行っています。骨の重量の半分はコラーゲン繊維ですが、このコラーゲン繊維にAGEができると骨が弱く脆くなります。コラーゲン繊維は繊維同士を結びつける善玉の架橋により、必要な強度を維持していますが、このコラーゲン繊維にAGEがつくと、本来、つかなくてもよい場所にも架橋ができてしまい、骨の強度が低下してしまうのです。

生活習慣病の原因はAGE①(AGEとガン)

日本人の死因の第三位は、脳梗塞などの脳卒中と言われるもの。

第二位は、心筋梗塞などの心臓病、そして第一位は、ガン。

脳梗塞などの脳卒中や心筋梗塞の原因は、動脈硬化を進めるAGEです。

そして、ガンにもAGEが深く関わっています。日本人の2人に1人は一生のうち一度はガンになり、3人に1人はガンで亡くなっています。

ガン細胞の多くはからだに備わった免疫によって除去されますが、加齢と共に免疫機能は低下していきます。AGEは組織レベルだけではなく、細胞レベルでも蓄積することが分かっており、遺伝情報を伝えるDNAにAGEが蓄積すると、ガンの引き金となるのです。

からだにAGEが出来ると、DNAの修復や複製などに悪影響が起こり、それがコピーエラーによるガンの発生を引き起こすと言われています。

また、ガン細胞の周りは間質で囲まれていて、この間質はガン細胞にさまざまな影響を与えていて、ガンの増殖や転移を抑えたり、逆に進行させたりすることに関わっています。

AGEはガンと間質の相互作用にも関係しています。

ガン細胞に表面に、AGEと結合するRAGE(AGE受容体)というタンパク質の分子があり、これにタンパク質の一種が結合すると、間質にシグナルが伝えられてガン細胞の転移が起こり易いことが分かったのです。