杉本先生がなぜ、新薬を開発しようと思ったのか?それはお母様がきっかけでした。1回目のブログで、戦後の昭和20年代に、杉本先生のお母様は、かなりのご苦労をされたということはお伝えさせて頂きました。
お父様は全くといっていい程、当てにならない方らしいので、戦後の混乱期の中、お母様のご苦労は並々ならないものであったに違いありません。おまけに9人の子供を育てあげたのですから、想像がつかない生活だったことでしょう。戦後、日本がこれだけ平和でいられるのも、杉本先生のお母様のような方が作り上げて下さったからだと思うと、頭が下がります。
この杉本先生とお母様の間には、とても辛い思い出がありました。ある日、お母様は杉本先生に向かって、「あんたさん誰でしたかねぇ」と問いかけたそうです。そうです!お母様は認知症だったのです。脳血管性の認知症です。この出来事がきっかけで、杉本先生は親孝行を近い、新薬を開発しようと誓ったとのことです。自分の母親にあなたは誰?と言われた時のショックは計り知れない程、言葉にはできない程の衝撃だったに違いありません。今だからこそ、認知症も徐々に解明されてきましたが、当時は認知症という病名もなく、世間の理解もなかったでしょう。これが杉本先生の創薬研究の原点となりました。
そして、アリセプト開発へとつながった訳です。