◆新しいガン治療薬「ニボルマブ」で糖尿病が発症

ガン治療に進歩はめざましく、最近では免疫チェックポイント阻害薬という新しい免疫療法が開発されました。これは、ガンが免疫細胞にかけているブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを強くする治療薬です。発売以来、重大な副作用として、Ⅰ型糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス(※参照)が報告されています。死亡例はありませんが、適切な処置をしなければ死に至る可能性もあります。
そのため、「ニボルマブ」を使用している人で、急激な血糖値の上昇や、糖尿病の症状が出た場合には、病院で適切な処置を行うのが一番です。
「ニボルマブ」で、ガンを克服したにもかかわらず、副作用で糖尿病になり、最悪、死に至るなんてことにならないようにしなければなりません。
薬は化学的なものであり、副作用があります。その副作用を理解した上で、納得した治療を受けたいものです。

※糖尿病ケトアシドーシスとは、急性代謝失調で、ひどい場合には脳浮腫や昏睡を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある状態で、極度の高血糖状態で発症します。

◆糖尿病と認知症

昔は高齢者になると認知症になる、認知症になるのは仕方がないと考えられていました。
しかし、実際のところ、40代で若年性認知症、若年性アルツハイマーになる人もいます。また、2025年問題と騒がれていますが、あと7~8年もすると、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われています。
認知症はまさに、大きな社会問題となっています。
特にアルツハイマー型認知症の人は増加しており、糖尿病の人が増えてきたことと関係していることが分かってきました。
最近の研究では、アルツハイマー型認知症の脳の記憶を司る部分で、複数の遺伝子の働きに異常が発見されました。その中にインスリンと関連する遺伝子も、複数含まれていました。
インスリンは、血糖値を下げる働きをする、たったひとつのホルモンです。アルツハイマー型認知症では、複数の遺伝子の働きが低下しているため、糖を十分に利用できず、様々なストレスに弱くなります。このような状態で糖尿病を発病すると、アルツハイマー型認知症が進行するのではないかと考えられているのです。

◆世界で肥満児が増加???

近年、世界的な肥満者の増加が、多くの余病の誘因とされています。今まで肥満というと、所得が多い国での増加と考えられていましたが、最近では中・低所得の国(都市部)でも増加しているようです。原因は運動不足、交通手段の変化(歩かなくなった)、高カロリーの食事です。肥満は糖尿病、心血管病変、骨格系の障害、ガンの発症にも影響を及ぼすので、小児期からの肥満はこれらの疾患の発症リスクを更に上げてしまいます。

栃木県大田原市は全国でも肥満児が多い市だとのことで、子供の頃から肥満に対する教育をしているそうです。1歳6ヶ月検診、3歳児検診から、きちんと教育をしているようです。子供はまだ小さいので自分で判断は出来ませんから、まずは親への教育となります。
毎日新聞の記事➡ https://mainichi.jp/articles/20170316/ddm/013/100/022000c

WHOでは脂肪と糖分摂取を控え、野菜や果物の摂取を増やし、毎日60分程度の身体活動を推奨しています。同時に栃木県大田原市のように、国や地域をあげて行政の早急な取り組みが重要です。世界的な肥満を少しでも解消するには、どの国でも乳幼児から適切な食生活、運動などの指導が必要です。

◆「世界糖尿病デー」

2017年11月14日は「世界糖尿病デー」世界の糖尿病人口は3億8700万人に上っているそうです。このような状況を踏まえて、国連がIDF(国際糖尿病連合・現在約170ヶ国230団体が加盟)が要請してきた「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を国連総会議で採択したのです。
詳しくはこちら➡ http://www.wddj.jp/

本日から複数回に渡り、糖尿病に関する情報をお伝えしたいと思います。今回は糖尿病だった有名人のお話です。平安時代の貴族である藤原道長は「糖尿病」を患っていたと言います。51歳の頃から、やたらと喉が渇き、よく水を飲んでいたとの記述から、Ⅱ型糖尿病だったのでしょう。この藤原道長は日本で最初に糖尿病になった人とも言われていて、何年も前に記念切手のモデルにもなりました。また、岡倉天心、徳川家康、幸田露伴も糖尿病だったそうです。時代が時代だっただけに、今のようにインスリン注射も血糖降下剤もないので、どれだけ苦しい思いをしたのか分かりません。現在、糖尿病と診断され、毎日、インスリン注射や血糖降下剤などを服用し治療をなさっている方、日々、大変ではありますが、藤原道長や徳川家康の事を考えると、予防法も治療法もあるので、医学の進歩に感謝せずにはいられません。