栄養素(糖質)②

近年、糖質抜きダイエットが大流行していますが、果たして糖質抜きは本当に体に良いのでしょうか?答えはNOです。前回、少し触れましたが、糖質は脳のエネルギーとなるので、どうしても必要な栄養素です。逆を言うと、脳のエネルギーになるのは糖質だけです。

糖質の働きはお腹が空いた時、疲れた時、血糖が下がった時などに、素早くエネルギーを注入すること。特に甘いものは、直ぐにエネルギーに変わるので、体がみるみる回復してきます。プロゴルファーの○○さんが、プレーの直前にバナナ1本を食べると言うのも、とても理にかなった方法なのです。

また、誰もが経験したことがあると思いますが、仕事や受験勉強の時に何故か甘い物を欲する時がありますが、これも体がもっと栄養を頂戴!と要求しているのです。特に脳は1時間あたり5gのぶどう糖を消費していると言われますので、人は何もしなくても一日に脳は120gのぶどう糖を消費している計算となります。

但し、摂りすぎには注意です。何故なら、甘い物の代表であるお菓子やスイーツは美味しくて食べ過ぎてしまいまい、体の中で余ってしまうと脂肪に変わるので、太る原因となります。参考までに、砂糖と油を一緒に摂ると太り易いと言いますが、甘い物の中でもケーキは砂糖と油が大量に含まれているので注意が必要です。どうしても甘い物が欲しい場合は、和菓子がおススメです。和菓子は砂糖は使いますが、油は余り使わないからです。

栄養素(三大栄養素)①

新年、明けましておめでとうございます!

今年も、様々な医療情報を発信させて頂きますので、何卒、宜しくお願い致します。

今回から暫く、栄養素についてのアレコレを発信したいと思います。

健康のためには、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、禁煙、お酒は控えめに、などと言います。誰でも分かっていることですが軽視しがちなことでもあります。

特に不規則な生活で時間もなく、一人暮らしの方は、外食や中食が中心となり、バランスの取れた食事など、なかなか摂れません。

口から入った食べ物は胃や腸で体内に取り入れやすい形にして、必要なものは体内に取り入れ、不要なものは外へ出します。三大栄養素と聞いたことがあるかと思いますが、糖質、脂質、タンパク質の3つは体のエネルギー源となるので、体のベース作りには欠かせないものです。もし、私はダイエットをしているから何も食べないと言って、これら3つを摂らないとすると、エネルギーがないので力が出ず、動けません。車にガソリンを入れないで走るようなものです。糖質は脳のエネルギー源、脂質は体の緊急事態に備えてエネルギーと水を体内に溜めておきます。つまり、緊急時に出動する救急車のようなもの。タンパク質は筋肉、血管、髪の毛、肌など、体を作る材料となります。

このようなことを頭の片隅にでもおいておくと、外食や中食の時に役立つことでしょう。

◆玄米ご飯がすい臓の細胞に及ぼす影響

沖縄県では、玄米を食べ続けると血糖値の上昇が抑制されるということが従来から知られていたそうです。玄米の胚芽部分に含まれる「γ―オリザノール」という成分に着目し、琉球大学で調べました。Ⅱ型糖尿病の原因のひとつは、すい臓のβ細胞が小胞体ストレスにより細胞死し、インスリン分泌が低下することです。

小胞体というのは、タンパク質の加工工場で、作られたタンパク質には不良品もあり、それらが小胞体に蓄積し、細胞の機能障害を起こすのは小胞体ストレスです。マウスの実験で、高脂肪食と「γ―オリザノール」の両方を摂取させたところ、β細胞の機能は正常に保たれ、インスリン分泌量が増加したとの結果が出たそうです。

玄米は、この「γ―オリザノール」を豊富に含みます。また、玄米は白米に比べて、硬いので、歯で何回も噛まなければなりません。つまり、ゆっくりと噛んで食べるというのも、血糖値の上昇を抑制します。玄米は噛めば噛む程、甘味が出てきて美味しいので、食べなれていない人も、挑戦してみるのもいいのでは?

◆糖尿病と拒食症

先週、糖尿病とうつの話をしましたが、うつになると過食に繋がり、しまいには拒食症になる人がいます。過食と拒食は繰り返すと言いますが、その通りです。
私の知り合いは、病気のストレスで食べては吐き、食べては吐きの状態を続けていたら、体重がみるみる落ちて、ガリガリになってしまいました。本人に体重は聞けなかったので具体的な数値は知りませんが、足は小枝のようで、今にも折れそうでしたし、鶏ガラみたいな外見でしたので、30㎏~35kgのように思います。確か身長が158㎝位と聞いたことがあるので、本来ならば50kgあってもおかしくはありません。しかし本人は太っていると思っているのです。なので、今の体重よりも1kgでも増えると、自分はデブなんだ、また太ってしまったんだと、更に精神的に病んでいくのです。女の子の痩せ願望により、ここまで精神が破たんするとは恐ろしいものです。ちなみに、その子にきちんとご飯を食べているの?と聞くと、私はちゃんと食べているわよと言うのです。どんなものを食べているの?と聞いたら、ご飯は、ご飯茶碗をひっくり返して、高台の部分(杯のような形の部分)に、ご飯を入れるのだそうです。これって一口にもなりません。そして、生野菜だけを食べると言っていました。Um~~~、なんて言ったらいいのでしょう。言葉がありません。このように、男性と違い、特に女性は外見のことを気にするが余り、どんどん、体を蝕んでいくように思います。普通に食べて、運動して、筋肉をつけて、引き締まった体になるには、精神的にも健康でなければならないようです。

◆新しいガン治療薬「ニボルマブ」で糖尿病が発症

ガン治療に進歩はめざましく、最近では免疫チェックポイント阻害薬という新しい免疫療法が開発されました。これは、ガンが免疫細胞にかけているブレーキを解除することで、免疫細胞の働きを強くする治療薬です。発売以来、重大な副作用として、Ⅰ型糖尿病、糖尿病ケトアシドーシス(※参照)が報告されています。死亡例はありませんが、適切な処置をしなければ死に至る可能性もあります。
そのため、「ニボルマブ」を使用している人で、急激な血糖値の上昇や、糖尿病の症状が出た場合には、病院で適切な処置を行うのが一番です。
「ニボルマブ」で、ガンを克服したにもかかわらず、副作用で糖尿病になり、最悪、死に至るなんてことにならないようにしなければなりません。
薬は化学的なものであり、副作用があります。その副作用を理解した上で、納得した治療を受けたいものです。

※糖尿病ケトアシドーシスとは、急性代謝失調で、ひどい場合には脳浮腫や昏睡を引き起こし、最悪の場合は死に至ることもある状態で、極度の高血糖状態で発症します。